変種さがし:全日本錦鯉品評会を見学

変種編集室では、2015年1月31日〜2月1日に開催された全日本錦鯉品評会に行ってきました。

全日本錦鯉品評会
全日本錦鯉品評会

錦鯉(ニシキゴイ)といえば日本の伝統文化ですが、その発祥は200年前の新潟県旧山古志村。
もともと食用に買っていた鯉の中に色の違うものが発見され、それらを育て人工交配を進めた結果、今のカラフルな鯉たちが作られています。

鮮やかな模様の鯉が生まれる理由は突然変異です。真鯉のような黒一色の遺伝子は優性遺伝、一方で白や赤、黄色といった色の遺伝子は劣性遺伝になります。当然ニシキゴイは変異が起こった遺伝子が世代を重ねるにつれ蓄積していくため、健康な魚として育てられるものにするのは難しいそうです。その中で美しい模様が出る鯉を生み出すのはかけ合わせをするブリーダーの腕の見せ所です。外来の観賞魚と違い、ニシキゴイはずっとアナログな方法(交配)で品種改良が進んできたのだと、スタッフの方は教えてくださいました。

実際にニシキゴイをみて驚くのはその大きさ。
1メートル超の魚がゆるりと泳ぐ姿は重厚感がありどこか異様ですらあります。鯉をこの大きさにするためには模様と同じく、大きく成長する系統をどんどん交配させていきます。今ではエサの改良も相まって7、8年ほどでこのサイズになるそうです。鑑賞のためにパンパンに張ったボディに仕上げるのでこれらのニシキゴイは皆メタボ状態、そのため寿命は長くとも20年ほどだそうです(通常の鯉の寿命は20〜50年)。

悠然と泳ぐ巨魚

ニシキゴイの評価は体型、斑紋の明瞭さ(色のにじみが無いか)、鱗のつき方など多岐にわたります。
模様や色に関しては奥が深すぎるのでここではあまり触れませんが、私が惹かれた品種は「緋写り」という赤と黒の二色で構成されたもの。車のデザインのようでとても素敵でした。
(ベテランスタッフによると、素人は2色や単色の鮮烈なデザインの魚をまず気に入る傾向があるとのこと。)

緋写り

今回の品評会で最優秀賞をとったのはこちらの鯉。
オーナーは外国人の方でした。日本の作出者が鯉を育種し、取扱者が日々の生育管理を行いますから、生育の知識がさほどなくてもオーナーとして錦鯉を楽しむことはできるそうです。

No.1鯉
チャンピオンになったオーナー

会場を回っていたらやはりありました、盆栽。
小さくとどまる品種の鯉を水槽飼いし、盆栽と一緒に省スペースで楽しむという提案がされていました。

盆栽と水槽
ミニ錦鯉

どちらにも通ずる楽しみのキーワード、それは「同じ物がひとつとして無い」ということだと思います。
生き物という人工的な編集作業が難しいカテゴリーなだけに求めるものにするのは大変で、愛玩物をどう育てるかに苦心することが楽しいのかなと感じました。(L蔵)


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