人間は自分たちが求めるスタイルに生き物を変化させてきた歴史があります。
それは植物や家畜の品種改良であったり、犬種の開発であったり。
人が生き物の姿形をいじるというのは伝統文化にも見られます。
その代表例として“盆栽”カルチャーを調べるべく、大宮盆栽美術館に足を運びました。
大宮盆栽美術館は大宮の隣駅「土呂」から歩いて5分ほどの住宅街にひっそりとあります。
実は大宮は盆栽の街、皆さんご存知でしたでしょうか。

中に入るとロビーの真ん中に季節の一鉢「きぶし」が鎮座しております。
盆栽というものは不思議なものです。
人が手を加えて枝振りや幹の立ち上がりを整えてやらなければならないのに、最終的に目指すことは「いかに人が手を加えた痕跡をなくして、自然にある樹木のように見せるか」ということだからです。


こちらは針金掛けという枝振りを調節する技法と、その痕跡。
しかし生き物を使ってしか表現できない作品も多数。
例えばこの真柏という木は右部分が「シャリ」といって幹は生きていません。
一つの鉢に生と死が同居していて、クローズアップすればまるで天然木のように見える、なんとも面白い文化です。(2014年12月21日 L蔵)

